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何か前提条件がズレているような気がする/2005年8月23日

パソコンに触り始めて25年近くになる。それを仕事にしているので、パソコン大好き人間だと、誤解されている。
だが、わたしは、パソコンが好きでパソコンの仕事をしているわけではない。パソコンを使うと、データを再利用したり作業を合理化できるので使っているのである。そして、データを共有するには、より多くの人が使う必要があり、標準的なデータ形式を採用する必要があると思っているから、WebやXMLをすすめている。
また、パソコンの仕事をしているからといって、ゲーマーでもない。業務合理化のためにパソコンを使ってきたので、アミューズメントの世界については門外漢である。ゲームのことなら、孫にプレゼントを買っている高齢者の方が、わたしなんぞより、よほど詳しいだろう。パソコンを触り始めた頃、一緒にゲームを作らないか、これからはゲームは儲かるよ、と言う人もいたが、関心を持てなかった。と言っていた人物も、ゲームクリエーターにはならず、数学者になっているが。いまも、わたしは、ゲームに関心を持てずにいる。日常生活でさえ複雑で回答のないゲームのようで、それを少しでもクリアして前進しようともがいているのに、ゲームの中でまでゲームをする気力も体力も、わたしには備わっていない。

大人たちは、なぜ、「職業=好きなこと」というように、単純な紐付けをしたがるのだろうか。
そして、なぜ、若い人たちに、「好きなことを見つけなさい、そしてそれを仕事にすればよい」と教えるのだろうか。
好きなことを見つけられなければ、そこで、身動きがとれなくなるではないか。
好きだろうが、好きでなかろうが、死ぬほどイヤ、というのでなければ、取り組んでみればいいと思うのだが。
「好きなことではないけど、これなら、なんとかガマンできそうかな、まぁ、いっかぁ」ということを、まずは仕事にしてみればいいのではないか。職業候補の中から好きなことを選択するのではなく、職業候補の中から嫌いなものを消去していき、最後に残った職業にまずは挑戦してみる、という消去法でよいのではないか。
そして、3年以上、同じ職場で頑張り、単に与えられた仕事を淡々とこなすのではなく、他の社員たちの仕事を見聞きし、自分の職場での商品や作業の流れを知るようにつとめれば、社会の仕組みのようなものがおぼろげながら見えてくる。自分が他にしてみたい仕事があることに気付いたなら、職場経験を元にして、新しい道を自分の手で切り拓けばいい。

いま問題になっているNEETたちの中には、障害認定を受けられないが働けるほど健康ではない人もいるだろうし、ウツや、学校でのいじめなどのPTSDに悩む人もいるだろうし、特別な才能と夢があっていまはパラサイトしているという人もいるだろう。
だけど、そういった「働きたくても働けずやむをえずNEET」あるいは「家族の支援を受けて夢のために積極的にNEET」している人たちが、NEETのすべてではない。
後押しすれば働いたり学んだりできる、体力も基盤もあるNEETの人たちに、「好きなことを見つけなさい」。
職業の選択基準が、好き嫌い?何か前提条件がズレているような気がする。

わたしは、こうしてWebを公開しているけれども、インターネットの仕組みを考えた人がいて、Microsoft社があって、パソコンを作る人がいて、その中の基盤を組み立てる工場で働く女性たちがいて、海底ケーブルの工事をする人がいて、光ファイバーの工事をする人もいて、そして、ようやくWebページを公開できる。わたしには、それらの仕事を行う能力も体力もないから、自分にできる方法で、社会に参加している。
NEETの人たちの中にも、インターネットに接続できる環境の人が多々いる。
ケーブル工事なんて、危険と隣り合わせ。寒いなか、炎天下の中、汗水たらして働いている人たちがいるから、快適にインターネット接続ができるのである。そして額に汗して働いて作っている親たちが、接続環境を提供しているのだ。
なのに、その親たちでさえ言う「好きなことを見つけてくれたら」。
自分の持っている能力を、それが今は小さな能力であったとしても、最大限努力して伸ばし、社会に還元する。その代わりに、生活の糧を得る。それが仕事だと思うのだが、違うだろうか?
なにか還元できるものは持っていないか。なにか還元できるように学んでみないか。パソコンが使えるなら、SOHOでの仕事を探してみないか。インターネットが好きなら、その関連の資格をとってみないか。サポートセンターの求人がないか探してみないか。パソコンやインターネットが特に好きなわけではなくても、死ぬほど嫌いじゃないのだったら、まずはそれを仕事にしてみないか。ものすごく好きなことが見つかるまで、待ちの姿勢を続けたら、何も身に付かず、年をとるだけ。
なぜ、そのことを、大人たちは、伝えようとしないのだろうか。

あのぅ、仕事って、楽しくなくっちゃ、いけないんでしょうかねえ?

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