Essay and Diary > Speculations (2005.7~)

自分の中のリストラクチャ/2005年9月7日

ここしばらく、体調不良で、ゆるゆるしていた。
6月頃、最悪の状態になりかけて回復していたのが、再燃。ダル~ダル~ダルメシアンになって、皮膚にブチができたかと思った。午前中は、口で息をしているほどの脱力感が続いていたが、わたしの方針は「なにをこれしき」である。なにをこれしき、動いてみせるぞ。で、少しずつ回復してきた。
年齢が年齢なので、あらぬ誤解を受けるといけないので先に断っておくが、更年期障害ではない。会えば分かるが、20年前と体形は変わらず、白髪もなく、視力は良いわけではないが一応裸眼で、歯はあり過ぎて困っている。

仕事は、座椅子にもたれて頭さえ使っていればいいわけで、たいへんな作業ではない。なので、体調不良も、仕事には、まったく影響がない。
家事の方が、わたしの中では、仕事より優先順位が低いので、やる気が出ない。
料理をするのも大儀で、ワンディッシュ料理プラス、サラダと小鉢とフルーツ、といった夕食を1週間ほど続けていた。まぁ、ワンディッシュとはいっても、素材は近所の山の朝採り野菜や、市内の漁港で朝あがった魚や、阿波尾鶏や鹿児島黒豚しゃぶしゃぶ用や追跡番号付きの国産特上和牛ロースだし、丁寧に作っているし、栄養バランスも考えているので、相方には諦めてもらうしかない。
ようやく昨日あたりから動けるようになり、久しぶりに「相方待望の」ザンギ(愛媛の方言で、しょうゆダレに半日以上漬け込んで揚げた鶏肉)を作った。揚げ油の入った北京鍋を引っくり返したら大火傷必至だから、復調しなければ、できないのだ。
でも、まだ近所のスーパーに毎日出かけるのが大儀なので、2~3日分の食材を、まとめ買いしている。そのおかげで、台風が来ても、食糧はある。

そして家事より大変なのが、日常会話である。書き言葉と技術話は大丈夫だが、世間話は大儀だ。
帰宅した夫が、妻からの世間話に、「ふんふん」と生返事をしているのと、同じである。
妻が言う「ねぇ、あなた、かまってよ、わたし淋しいわ。どこか旅行でも連れていってよ」ウチでは、これを相方が言う。横座りで、シナを作って。わたしが生返事をすると、一人芝居を始める。「いいぞ、オマエ、温泉旅行にでも行こうか。そしてその後は××××××××(放送禁止用語の羅列)」「あら、うれしいわ、あなた」。
もし吉本興業がIT事業部でも興すオーディションを実施するなら、わたしは、相方を強力に推薦するものである。

体調不良の原因は、ストレスと、自分の中のリストラクチャである。
わたしだって、いろいろと考えることもあり、方法や結論やアイデアが見えないことだってある。だが、プライベートで関わる周りの人たちからは、どんな状況でも動じない心臓に毛がぼーぼー生えた鉄人だと思われている。
たしかに、周りの人たちに比べると、わたしは、かなりストレス耐性が高いと、自分でも思う。だからといって、生身の人間である。いくら精神が強靭でも、体力には自信がない(威張ることじゃないんだけど)。

インターネットで、新しい知識や情報が簡単に得られるようになり、我を知っていたつもりが、勘違いしている部分があったことに、気付くことがある。普通は、そんなことに気付いたってどこ吹く風で、むしろ、隣のスーパーで同じ商品が安く売られていることに気付く方が、ショックなのかもしれない。
しかし、わたしにとっては、我を知ることが、いちばんショックである。
終戦になったとき、日本の多くの人が、自分の頭の中にあるデータが、ひっくり返る経験をしているのだろうが、今なお、そういったことは起こりうる。その経験を小さくしたことが、情報過多であるだけに、現代のわたしたちの上にも、起きるのだ。

とはいえ、わたしの場合は、一時的に落ち込んでも、もともとノーテンキで、アグレッシブな性格なので、太宰(=純文学的ということ)にはならない。水の中でこの世をはかなむよりも、最後まで手足をバタつかせている方が、かっこいい生き方だと思うからだ。だから、心が彼岸と此岸を行き来していても、身体まで彼岸に持っていかれることはない。この性格で、トクしてるかもなあ、と思うが、逆に、この性格だから、気付かないことが多いのかもしれない。
解決策を冷静に論理的に考え、どんどん行動に移していく。考えはするが、悩まない。そのぶん、見当違いに気付いたときには、ショックが大きい。それでも、またまた悩まずに、軌道修正して、アグレッシブに、つき進む。だから、鉄の心臓だと思われているのかもしれない。

人が一生を生きる間に、自分の中での崩壊と再生を、どれほど経験するのだろう。頭の中に築かれたビルを、解体しては建て直す作業を、何回繰り返すのだろう。自分の中の建築基準法を、何回書き換えればいいのだろう。でも、最後には、それは、どんな圧力にもビクともしない、耐震性の高いビルになるんだろうなあ。たぶん、死を迎えるまでには。

...というわけで、仕事のメールは書いていますが、お友だちからのメールには、まだ返事できていないものがあります。ごめんね、お友だち。完全に復調するまで、待ってください。

もどる