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(18)さいきん面白かった本/2004年1月5日

 「Rainman toolkit」の開発のために,Web上で公開されている,自閉症,学習障害,アスペルガーなどに関するページを多数見て回った.
 その中で,あるWebサイトの,エッセイ風の日記が目にとまった.文章の書き方が素人じゃないな,と思ってプロフィールを見たら,翻訳のプロのようだ.
 日記は,夫の視点から見て書かれているが,実際の書き手はサイトのオーナー(妻)の方だそうである.これは,KySSの手法と同じである.技術誌に掲載している,国安の視点から見た関西風おとぼけモノローグや,XML業界を吉本化するような掛け合い漫才の台本はわたしの担当で,決して国安は,関西風アホでおちゃらけている人間ではない(?),まじめにプログラムコードを書いている...オレほど,ナイーブな人間はいない!! と,本人は豪語している.もっとも,Micrfosoft独自仕様ネタや同社製品の広報ネタに関して「もっとカゲキに書け書け」とけしかけているのは,国安なのだが.まぁ,実際のところ,わたしの方がラテン系根っこはお気楽人間で,国安に京都古寺の苔むした暗さがあるのは確かである.そんな共通点に関心を持ち,サイトで公開されていた日記を,全部一気に読んでしまった.
 内容も面白いし,文章も洒脱である.笑いのツボを,こころえている(筆者は関西人のようなので,当然か).ただ,わたしが商業誌に文章を書くときは,常に読者を意識して,どうすれば分かりやすいか,最後まで読んでもらえるか,技術を習得してもらえるかを考えながら書いているわけだけど,この人は,違うな,と思った.読み手を意識しつつ書いているわけではなさそうだ.たとえていえば,デザインじゃなくて,アートなんだよね.読者のためにではなく,自分のために表現している.取り上げたテーマを表現するのではなく,自分自身を表現している.だから,カラカラ笑える内容でも,ずっしりと重い.テキストの一文字一文字が,錘を付けた糸に引っ張られているようだ.アスペルガー,人間の多様性,認知という問題をテーマにしているから,重いのも当然といえば当然だが.そこが,読者の共感を呼ぶところでもあり,逆に受け止められにくさにもつながる,諸刃の刃のような気がした.書籍化すれば,編集者の腕次第で,売れる本になるだろうなあ,まとめて出せばいいのに,と思った.
 ある日,毎日新聞に,アスペルガーな人が本を出版したという紹介記事が載っていた.「地球生まれの異星人」.開発資料として読んでおいた方がよいと思い,Amazonで注文した.届いて,あれれ?執筆者は,くだんの,サイト 「Alien Mind」のオーナーであった.なんだ,やはり書籍化を考えた編集者がいたのだ.(勝手リンクはしないので,Alien MindのURLはGoogleで探してください).
 この本,「地球生まれの異星人」面白い.自閉症なんて関心ないよ,という人も,ぜひ,買って読んでみられたし.筆者の本意ではなかろうが,わたしには,アスペルガーという本来のテーマよりも,海外体験のくだりが面白かった.世界を歩いた経験を語る,その語り口は,宮内勝典の文章にコーンフレークをまぶしてカラッと油で揚げた感じ.表現自体は,乾いて軽い.だから読みやすい.ただ,共感できない点も,もちろんいくつかあった.この著者,阪神タイガースのファンであるらしい.アスペルガー症候群よりも,阪神症候群の方が,異文化じゃないか,と思うのだが(だからといって別に,わたしは巨人ファンというわけではないよ).
 さて,エッセイは,ここで打ち止め.書こうと思えばいくらでも書くことはあるが,仕事が待っている.メインの開発業務,「Rainman toolkit」の開発,書籍,雑誌原稿...今年もがんばりますので,よろしく!!
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